企業におけるダイバーシティ(1.0)とは

ダイバーシティ・マネジメントとは

そもそも「ダイバーシティ」とは、直訳すると「多様性」という意味です。

ビジネス的には「市場の要求の多様化に応じ、企業側も人種・性別・年齢・信仰などにこだわらずに多様な人材を生かし、最大限の能力を発揮させようという考え方(人事労務用語辞典より)」であり、「人材と働き方の多様化」を指す言葉として用いられています。

この「ダイバーシティ」をマネジメント(経営管理)する「ダイバーシティ・マネジメント」は、「従業員の多様な個性を企業内に取り込み、活用することで組織力を強化する経営」と定義できます。

日本では「ダイバーシティ」イコール「女性活躍推進」の事と認識されがちですが、必ずしもそうではありません。

「正規雇用の健康な日本人男性」が、働く現場のスタンダードだった時代は終わり、現在は非正規雇用をはじめ、女性や外国人、障がい者が同じ職場で働く時代。このダイバーシティ・マネジメントは、どのような企業にも避けて通れない道となっています。

海外企業がダイバーシティの推進に積極的なのは、ビジネスでの競争優位性をもたらしてくれるからです。 実際にダイバーシティを効果的に進めた企業では、多様な社員の違いを戦略的に活かすことで企業の競争力強化につなげた事例が数多く出ています。

ダイバーシティが企業へもたらすメリットは多くありますが、主として下記があげられます。

優秀な人材の確保と活用 

IT化とグローバル化が進む21世紀の高度情報化社会では、企業パフォーマンス向上に大きく貢献してくれる高度な知識とスキルを持つ優秀な人材が常に求められ、世界レベルで有能な人材の争奪戦が起こっています。激化する競争の中で企業が生き残っていくためには、属性にかかわらず、高い成果を出してくれる有能な人材が必要なため、採用の対象層の拡大が不可欠です。また、優秀で多様な人材にとって、ダイバーシティを真剣に取り組む企業は魅力的に映り、そのような人材が集まって来るのです。

市場での有利性向上

海外企業でダイバーシティが重要視されるのは雇用面だけでなく、多様化する消費者の嗜好や価値観をビジネスに結びつけ展開したからです。多様な社員がいれば、多様な顧客ニーズや要求に対して、営業、マーケティングや商品開発などで、迅速かつ的確に対応しやすくなります。
米国での初期の事例として、ある企業でスペイン系住民が多く住む地域に、スペイン語を話せるスペイン系社員に営業を担当させたところ、売り上げが大きく伸びました。他の企業でも中国系顧客が多い店舗に中国系社員を登用し、業績を向上させました。
このようなメリットを得るためには、会社自身が多様になることが求められるのです。

創造性・革新性の向上

革新性や創造性は、異なる視点、経験やアイデアなどが刺激し合い相乗効果によって生まれることが多く、均一的チームからイノベーションはあまり期待できません。
同質性の高い企業では、大多数の人が似たような視点や価値観を持つため、革新的なアイデアや問題解決策は生まれにくく、多様化する顧客のニーズにも適切に応えられないため、組織の競争力を低下させるのです。
対して異質性の高い企業では、多様な人材のさまざまな経歴、個性や能力をフルに発揮させることにより、変化激しく不確実な経済環境に柔軟に対応することが可能になります。米国のシリコンバレーでは研究者やエンジニアたちの過半数以上が外国生まれという調査結果が出ており、そのような多様な人材の集まりから、今までにない多くの斬新的な製品やサービスが生み出されているのです。

ダイバーシティの課題

これらのようにダイバーシティは企業に競争力を高めるメリットをもたらしますが、いいことづくめでありません。同質性の高い企業にも、異質性の高い企業にも、メリットとデメリットの両面があることを理解することが大切です。

同質性の高いチームは、一度事柄が決まれば、コミュニケーションがスムーズで、効率的に物事が進みやすい。一方、異質性の高いチームでは職場でのあつれきや誤解が発生しやすくなります。ダイバーシティの課題のひとつは、あらゆる異質な要素がトラブルの原因となり、まさつや葛藤を引き起こすこと。
つまり、単に多種多様な人材を採用するだけでは、企業メリットにつながらないばかりでなく、かえってデメリットが生じ、その結果、チームの生産性やパフォーマンスが低下してしまうのです。

実際、「異質なチームであるだけでは高い生産性や仕事の質は約束されない」という調査結果が多数報告されています。
同時に、「適切に違いを受け入れ、効果的にマネージすれば創造性、問題解決やチームの生産性へプラスに影響する」ことも明らかとなっています。

重要なのは、制度を充実させ多様な人材を「採用・定着」させるだけでなく、全社員の態度と行動にダイバーシティの尊重を反映させることにより、様々な違いを「受容する企業風土」を築くこと。
そのためは全社員のダイバーシティへの正しい理解と適切な行動を促進する教育や意識改革が不可欠となるのです。

もはやダイバーシティは企業の社会的責任にとどまらず、グローバル競争に生き残るため、参加するためにさえ最低限クリアしなければならない必須条件になった。わが国の生産年齢人口が右肩下がりを続ける中、女性や高齢者、外国人だけでなく、さまざまなバックグラウンドを持った多様な人材をどれだけ多く引きつけられるのか。多様な才能が反応し合うことでイノベーションを引き起こすことが、日本企業が競争力を取り戻すためには欠かせない。ただ現状はまだまだ厳しい。

企業の本気度が問われるのは、これからだろう。「女性の活用」という社会的要請に対して、受け身的に、もっと露骨に言えば「形式的」に応えてきただけという企業が案外多いのではないだろうか。いわば「ダイバーシティ1.0」。この段階にとどまっていることの限界が、いよいよあらわになってきている。
ダイバーシティ2.0についてはこちら

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