人材育成の仕組みとは

人材育成の必要性

企業経営における人材育成の意味について、ダグラス・ホールは、「企業が戦略目的達成のために必要なスキル、能力、コンピテンシーを同定し、これらの獲得のために従業員が学習するプロセスを促進・支援することで、人材を経営に計画的に供給するための活動と仕組み」と述べています。

つまり、人材育成とは闇雲に取り掛かるものではなく、経営戦略に基づく形でその目的を達成するため、意図的かつ計画的に設計し、推進することが大変重要になります。

ここまで人材育成の意義を述べてきましたが、具体的な手法としては大きく以下の3つです。

  • OJT (On-the-Job Training)
  • Off-JT(Off the Job Training)
  • 自己啓発(Self Development)

それぞれについて説明していきます。

OJT(On the Job Training)

OJTとはOn the Job Trainingの略で、 「職場で、業務遂行中に、上司が、部下に対して、個人および集団の育成必要点を見いだし、それに対する一切の指導、援助活動を計画的・意識的・継続的に行うこと」(寺澤弘忠 『OJTの実際』) を示し、 終戦後の1950年代に海外から輸入された言葉になります。

OJTの考え方

現在OJTを聞く場面としては新人教育等の場面ではないかと思いますが、当時は職場の管理者教育を目的とし、生産現場における生産性向上のために活用されてきたため、デスクワーカーに普及し始めたのは高度経済成長期以降になります。

人材育成というと、どうしても「教える」ことに目が向きがちですが、人材の成長を促進するためには経験から学び取る力を育む事が重要です。

この力が弱いと仕事を任せた後の伸び幅が小さくなるためです。

上の図は組織行動学者のデービッド・コルブの提唱する「経験学習サイクル」を示したものですが、育成においてはこのサイクルを頭に浮かべながら、「なぜ失敗した/うまく行ったと思う?」と投げかけ、内省を促すのが良いでしょう。

まず大事なことは、OJTに取り組むことは自らのためになると理解することです。部下や後輩の育成は、マネージャーとして大変重要なスキルであり、ただ「育成対象のため」と考えるのではなく、自らのマネジメント力を伸ばす行為であることを意識し行いましょう。

教育心理学では「相手が成長すると信じて接すると本当に成長する」といった効果(ピグマリオン効果)も明らかになっています。

部下・後輩を信じ、期待している旨をしっかりと伝えましょう。 不信感を持ちながら過度に手取り足取り伝える教え方ではなく、主体性を持った取り組み(自主行動)を促すことが大切です。

OJTのメリット・デメリット

メリット

  • 業務直結指導ができるため、実践力を養う事ができる
  • 都度指導により、成長度合いに応じた計画変更ができる
  • 社内育成のため、外部コストが不要
  • 業務能力だけではなく、社風やルール、社として仕事への姿勢など、環境育成する事ができる

デメリット

  • 指導力はOJTリーダーによる所が大きく、差異が出やすい
  • 属人的指導のため、リーダーの考えや行動に大きく影響され易い
  • 当該業務には通じているが、それ以外の専門領域・理論性の指導は希薄になりやすい

Off-JT(Off the Job Training)

OJTが職場での指導を指すのに対し、Off-JTは職場を離れて行う社員教育を指します。座って勉強をするため「座学」や「教室・講義形式」などと呼ばれますが、この他にもゲームやグループワーク等、多様な形式で行うケースもあります。

Off-JTというと日常から離れた所で場所を借り行う印象がありますが、最近では勤務地近くの部屋で短時間学習をし、すぐに職場へ戻り試すようなOJTに近しい形も増えています。 また、インターネットやイントラネットを活用した学習方法もありますので、併せて活用を検討するのが良いかもしれません。

Off-JTの考え方

研修効果を高めようと考えた際に真っ先に浮かぶのは優れた講師を招聘することですが、ロバート・ブリンカーホフによれば、研修の各プロセスによる影響度は以下の通りになるとのこと。

  • 研修前40%
  • 研修中20%
  • 研修後40%

つまり、研修がいかに素晴らしい時間になろうとも、20%程度の影響しか出ず、研修前後でフォローアップが出来なければ効果は80%減少するということです。

100%を目指すためには、研修の実施前・実施中・実施後をひとつのプロジェクトと捉え参加者へ効果的にアプローチ出来るよう設計する、プロジェクトマネジメント的視点が必要不可欠になります。

Off-JTのメリット・デメリット

メリット

  • 職場では学べない、専門領域・理論の習得ができる
  • 職場環境から離れ、新たな気付きに至り易い
  • 参加者同士での交流・人脈形成が可能

デメリット

  • 内容や講師など、研修の選択が難しい
  • 外部講師の費用が発生
  • Off-JT内容と実務連動の企画力が必要

自己啓発

自己啓発とは、企業が準備した教育の枠組みに頼らず、社員自らスキルの習得・向上を図ることです。

外部セミナーを受講する、ビジネス書籍を読む、といった行為に相当します。

自己啓発に対して費用・時間的な補助を行う企業が多いでしょう。

これらの3要素を活用し、効率的に人材育成を行っていくのが望ましいとされますが、今の日本でこれらを統括管理し、戦略的に育成を行っている企業はまれです。

特に社員のステージごとに、育成で重視されるポイントは変わるためです。

自己啓発のメリット・デメリット

メリット

  • 強化範囲や計画・予算など、自分で設定できる
  • セミナー参加や読書、資格取得など様々な方法を選択できる
  • 自分の出来る時間で行える

デメリット

  • 長続きしない、途中で挫折する可能性がある
  • 1人で取組むと、よりベストな強化範囲から外れる可能性がある(他者アドバイスが無い)

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