海外進出を考えている企業のために – 中小企業 –

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企業の海外進出の現状

人口減少や取引先の海外移転等による国内需要の減少に伴い、日本企業にとって海外進出の必要性がますます高まっています。安倍首相が打ち出した「第三の矢」に象徴される国内の構造改革が成功としたとしても、人口減少が予想される国内市場が大きく成長するとは考えにくいため、国内市場で生き残って成長を続けるためにも、海外市場におけるニーズが増えています。

また、大企業だけでなく中小企業においても成長著しいアジア等の海外需要を取り込むため、海外展開が拡大傾向にあります。これまで海外展開の主流は大手企業でしたが、数年前から中堅・中小企業にまで拡大している傾向にあり、近年この動きが更に激しくなっています。

さらに、事業の中心および売上の半分以上を海外が占めるという企業も増加しています。内閣府の「平成28年度企業行動に関するアンケート調査報告書」でも、海外現地生産を行う製造業の割合は、平成元年度に36.0%だったものが平成22年度には67.6%に達し、平成28年度には69.8%となる見通しが発表されています。既に海外に拠点を持っている中堅・中小企業のうち、7割以上の企業が今後の海外事業を強化・拡大する方向性を示しています。

海外展開を行っている企業は、海外展開を行っていない企業より国内の従業員数を増加させる傾向にあり、海外市場で自社の強みを発揮することにより、国内事業を活性化している多くの事例があります。今や、ビジネスおよび会社構造において国内と海外を意識することなく、グローバルなビジネス形態やICT・ネットワークの構築を実現することが不可欠となってきているのです。
各国への日系企業の進出状況は外務省領事局政策課によると、「米国」に在留邦人全体の約32%(41万9,610人)、「中国」に約10%(13万1,161人)がそれぞれ在留していて、両国で在留邦人の4割以上を占めています。

3位以降は、「オーストラリア」約6.8%(8万9,133人)、「英国」約5.2%(6万7,997人)、「タイ」約5.1%(6万7,424人)、「カナダ」約5.0%(6万6,245人)、「ブラジル」約4.1%(5万4,014人)、「ドイツ」約3.2%(4万2,205人)、「フランス」約3.1%(4万308人)、「韓国」約2.9%(3万8,060人)、「シンガポール」約2.8%(3万6,963人)の順となっています。

これら11か国で全体の8割を占めます。

海外進出の方法

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海外進出を行うには、現地に拠点を設ける方法と、拠点は設けず、日本から何らかの取引をする方法とがあります。拠点を設ける方法には、現地法人設立、現地法人との資本提携(参加)、支店設立、駐在員事務所の設置などがあります。一方、拠点を設けないやり方としては、単なる輸出入貿易、販売代理店の構築、フランチャイズやライセンス契約、などの方法があります。拠点を設けた方が、上手く行ったときのリターンは大きいですが、リスクも大きいといえます。逆に、拠点を設けない場合は、非常に大きなリターンは期待できないかもしれませんが、何かあったときのリスクは少なく抑えることができます。以下、代表的な方法について、そのメリットとデメリットをご紹介いたします。

現地法人の設立

近年、日系企業が海外に現地法人をゼロから設立し事業を運営する方法としては、独資(日系企業の出資のみで設立される企業)又は合弁(日系企業と、海外企業ないしその他の経済組織の共同出資により設立される企業)の選択を迫られるケースが多くみられます。日系企業にとって、独資と合弁のメリットおよびデメリットについてみますと、独資には、以下のメリットがあるといえます。

  • 出資者の自由な意思決定を行うことが可能、業務に関する意思決定にあたり機動的に対応することができる。
  • 海外企業等に機密や技術、ノウハウ等の流出を防ぐことができる。
  • 生じた利益を独占することが可能。

一方で独資には以下のようなデメリットがあります。

  • 海外企業等の販売網やノウハウを活用することが難しい。
  • 出資の負担が大きい。
  • 業種によっては独資企業の設立が禁止されていることがある。

フランチャイズ

現在、海外取引として注目されている形態として、フランチャイズ契約、すなわち事業者(フランチャイザー)が他の事業者(フランチャイジー)との間に契約を結び、自己の商標その他営業の象徴となる標識および経営ノウハウを用いて、商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定のロイヤリティを支払い、事業に必要な資金を投下し、フランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的な契約があります。

この場合、日本企業がフランチャイザー、海外企業がフランチャイジーとなることにより、以下のようなメリットがあると言えます。

  • 資本力が小さくても、海外企業の資金、人材、ネットワークを利用し、店舗展開が可能である。
  • ロイヤリティの徴収による収入が期待できる。
  • 失敗した場合のリスクが小さい。

一方で以下のとおりのデメリットもあるといえます。

  • フランチャイジーが経営ノウハウ等を流出させる可能性がある。
  • 不振フランチャイジーが発生した場合、その対応のための経費と労力が必要となる。
  • 不振フランチャイジーのために、フランチャイザーのイメージが悪化する可能性がある。

なお、中国やマレーシアなど、アジアの諸国の中には、フランチャイズ契約そのものについて、色々と規制を課しており、自由にフランチャイズを展開できない国もありますので、事前のリサーチが必要です。

M&A

海外現地の企業をそのまま買収する方法として、M&Aの方法があります。

いずれも海外に何らかの形で進出する方法ですが、海外進出を実践するに当たっては、事前に、投下する資本額(コスト)やその見返り、時期やタイミング、海外現地にある企業とのネットワーク関係、人材の確保、関係法令の有無、税務負担等を、事業計画段階で諸事情を総合的にかつ丁寧に見極め、最も自社に適した方法を選択することが必須です。

補助金・助成金

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現在、中小企業が受けられる国からの補助金として以下のものがあります。

外国商標出願費用助成事業

受給金額:60万円

東京都内の中小企業等、中小企業団体、一般社団・財団法人の方が対象の補助金制度です。「外国意匠」出願にあたってかかった費用に、最大60万円が支給されます。出願費の一部を支援することで、東京都内の中小企業の海外進出を促進するために策定されました。

外国意匠出願費用助成事業

受給金額:60万円

都内の中小企業等、中小企業団体、一般社団・財団法人の方が対象の助成金です。外国意匠出願に際してかかった、外国出願料、弁理士費用、翻訳料に、最大60万円支給されます。外国意匠出願に要する経費の一部を助成することによって、中小企業の国際競争力の向上、経営基盤の強化を図り、東京の産業を活性化することを目的として策定されました。

外国実用新案出願費用助成事業

受給金額:60万円

都内の中小企業者等、中小企業団体、一般社団・財団法人の方が対象の助成金です。外国実用新案出願にあたって、かかった外国出願料、弁理士費用、翻訳料、先行技術調査費用、国際調査手数料、国際予備審査手数料に最大60万円が支給されます。都内の中小企業者等に対し、外国実用新案出願に要する経費の一部を助成することによって、中小企業の国際競争力の向上を図り、東京の産業を活性化することを目的として策定されました。

外国特許出願費用助成事業

受給金額:300万円

都内の中小企業者、中小企業団体、一般社団・財団法人の方対象の制度です。個人事業主の方も申請できます。外国特許出願にあたってかかった、外国出願料、弁理士費用、翻訳料、先行技術調査費用、国際調査手数料、国際予備審査手数料に最大で300万円まで支給されます。中小企業の国際競争力の向上、経営基盤の強化を図り、東京の産業を活性化するために策定されました。

製品改良・規格等適合化支援事業

受給金額:500万円

東京都内に本社があり、1年以上事業を営んでいる中小企業が国内や海外で新しく自社製品を売り出したい場合、その改良にかかる費用や規格適合・認証取得等にかかる費用が助成されます。

事業革新支援資金(特別資金)

受給金額:20,000万円

北海道札幌市の中小企業が対象の融資です。運転資金、設備資金等に最大2億円支給されます。新事業、地域活性、販路拡大に必要な経費の一部を支援することで、中小企業が事業革新をより取り組めるために策定されました。

成長産業分野の海外展開支援事業

受給金額:300万円

海外展開を考えている、東京都内で1年以上事業を営んでいる中小企業にオススメの補助金です。東京都が策定した「開発支援テーマ」に合っていることが必要になります。スポーツ用品や健康器具、防災に関する製品などテーマに沿っていれば全て助成対象になります。

海外進出のリスク

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中小企業海外展開支援関係機関連絡会議の中で、中小企業が海外展開する際には、国内とは異なる特有の課題・リスクに対応しなければならないことが呼びかけられています。中小企業庁の委託調査(「海外展開による中小企業の競争力向上に関する調査」、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))によると、現地法人が直面している事業環境面の課題・リスクとして、「人件費の上昇」、「為替の変動」、「現地人材の確保・育成・労務管理」、「法制度や規則の複雑さ、不明瞭さ」等が上位に挙げられています。

現地法人が直面している事業環境面の課題・リスク

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また、中小企業の海外現地法人が、各国・地域において、多様な課題・リスクに直面した結果、現地からの撤退を選択する事例も存在します。(独)中小企業基盤整備機構が実施した「平成20年度中小企業海外事業活動実態調査」によると、撤退・移転の理由として「現地の販路開拓の困難性」や「品質管理の困難性」、「生産コストの上昇」等が上位に挙げられています。

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このように、海外進出の際に、現地人材の確保、育成、労務管理や、品質管理、法制度への対応といった経営上対応すべき課題・リスクが多く指摘されており、これらについては、それぞれの企業の取組の中でしっかり対策を講じていくことが必要です。
また、為替を始めとする経済情勢の変化や、政情不安・自然災害のように、個社の取組では十分回避しにくい事象もあり、これらについては予めできるだけ情報を収集し、進出に当たって万が一の場合も想定して取組を進める必要があります。
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