エンジニア不足解決のために

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不足するエンジニア

情報社会を支えるエンジニア不足が深刻になっています。

経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2015年の時点で17万人が不足しており、今後はさらに深刻化して、2030年には59万人が不足する事態になるとのことです。

同調査では「IT分野でのさらなる市場成長を促進するためには、不足人材の充足が喫緊の課題」と危機感を募らせ、今後のIT人材の活用・確保に向けた方策をとりまとめてはいますが、今のところ日本人のエンジニア不足が解消に向かっていることを示すデータは何一つ上がってきていないようです。

日本の有効求人倍率は上昇を続けています。平成28年11月は1.48と、前月の1.43から上昇。1.0を超えた平成26年度は1.11ですから、3年間で0.4ポイントの上昇となります。

この数字が示すように、各産業では人手不足がずっと続いているのですが、近年特に不足気味なのが「情報処理・通信技術者」つまりシステムエンジニア(SE)です。

SEの人材不足の原因、そしてその打開策を探ってみます。

なぜエンジニアが不足するか

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厚生労働省が発表している「労働市場分析レポート 第61号(平成28年1月29日)」によると、求人倍率の高い職業として「情報処理・通信技術者」が挙げられています。

これはすなわち、IT関連企業にとってシステムエンジニア(SE)の数が不足していることに他なりません。

SEを志望するもしくはSEとして転職する人が減り、勤務先から動きたくないSEが増えています。

SEに限らずIT業界は転職が当たり前。であれば、転職したくないというよりは、もうSEはやりたくないと思ってしまっている人が増加しているのではないかと推測されます。

エンジニアの環境

長時間労働によるノイローゼから自殺に至ってしまった事件が世間を騒がせています。IT業界にも、長時間労働・過重労働のイメージが付いて回っています。
かつては時代の先端を走っているスマートでクールなイメージがありましたが、今では「新3K」とも呼ばれる業種になってしまいました。すなわち、「きつい「厳しい」「帰れない」です。
納期の短縮、コストの削減など、厳しい業務環境を突きつけられ、それらに対応するため長時間にわたる勤務を余儀なくされるケースも多々あります。
SEの悲哀な話がネットを通じて拡散され、ネガティブイメージとなってしまいました。

定着してしまった低賃金イメージ

長時間労働・過重労働の割りに給与額が低いことも、SE不足の大きな要因です。どの業種・職種にも言えることですが、給与額の低さイコール不人気職という図式は普通に見られることです。世間では、大手IT企業社員の高給ぶりが話題となることがあります。そのイメージで業界に入り、現実との差に絶望を感じる若手SEは多いのです。

大規模システム構築を例に取ると、2次下請け、3次下請け・・・という多重構造となります。下層に行くほど必要な人数が増え、単価も下がっていきます。

ごく一部の大企業に勤務する技術者とこの末端の技術者の所得格差はどうにもなるものではありません。

また、受注金額の値下げ合戦に巻き込まれ、年々その金額は下がってきました。これでは、給与を上げたくても限界があります。給与額は変わらず、仕事のハードルは高くなるという負のスパイラルに陥っています。

人手不足がIT企業に与える影響

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「2020年問題」という言葉があります。

この年に開催される東京オリンピックに伴い、様々な場所で関連システムの開発が行われています。また、マイナンバー制度の導入による大きな開発案件が全国的に必要となってきました。大手都市銀行のシステム更新も予定されており、こちらにも数多くのSEが必要とされています。

こういった要因が2020年に向けて一気に進行しています。

それらの案件に大きな影を落とすのが、現在のSE不足という現状です。

そして、2021年以降もこのような需要があるとは保証されていません。一気に開発案件数が減ってしまうという予想もあります。従って、企業もただSEを増やせばよいというわけにはいかないのです。

開発案件が多いのにもかかわらずSEが不足したままだと、プロジェクト自体の遅れが頻発し、労働環境はさらに悪化していきます。

また、開発の委託先を海外に求めるケースも増加していくので、オフショア開発(海外での開発)がさらに加速してしまいます。IT技術者の空洞化が現実のものになってしまうのです。

人手不足の解消

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どんな業界にも同じことが言えますが、待遇改善が優秀なSEを集めるための要件となります。

しかし、それだけでは完全とは言えませんし、高給であっても業務環境がブラックなら定着率の高さは望めません。

先述のように、オフショア開発を選択するのも方策のひとつです。東南アジアの会社を利用するケースが多く見られます。開発コストを抑えられるので、本社に迎え入れるSEの待遇が改善されるというメリットも発生します。

パッケージ製品の導入を視野に入れることもお勧めです。システムをゼロから開発するのが従来の日本式やり方でしたが、これでは必要とされる人員は旧来のままです。パッケージ製品であれば、それが不要となります。

SEにかける人件費が増やせないのであれば、このような方法でコストを抑制する方策が有効です。抑えたコストとの差額で、少数のSEを採用することをお勧めします。

1人で複数人の働きをしてくれるスキルを持ったSEがいるだけで、生産性は大きく高まります。

そういった人材は従来大手企業に偏っていました。しかし、働き方が多様化している現代、企業の外に出て自らの力を試したいと思う人は増えています。

エンジニア不足の改善法

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多様な人材の活躍支援

経済産業省の調査結果にもありました多様な人材(女性、シニア等)の活躍促進をまず挙げてみたいと思います。これは同省だけではなく、様々な企業で検討された案でもあります。

同省の調査によると、女性やシニアを採用することによって人材不足が解消されたという結果が出ています。また女性の場合は「職場が活性化する」、シニアの場合は「ノウハウの継承が可能になる」というメリットも報告されています。これは女性の人材が職場環境の改善をもたらす可能性があることと、シニアの人材が人材育成に好影響を及ぼす可能性があることを意味していますが、それと同時に「新しい業務知識や技術への対応力が低い」「人件費が高い」「離職率が高い」といった課題も出たようです。

ただし、エンジニア不足の改善という観点で見ると、この多様な人材の活躍支援という方策は少しばかり厳しいと言わざるを得ません。「新しい業務知識や技術への対応力が低い」と指摘されている女性やシニアをエンジニアとして活用しなければいけませんので、そうするにはそれ相応の課題を企業と人材の両者が克服しなければいけないことになります。

小学校からのIT教育

2030年には59万人のエンジニアが不足すると言われていますが、今から小学生や中学生にIT教育を施すようにすれば2030年に間に合う可能性があります。

もちろん教育というのは難しいので一朝一夕にはIT教育法を確立することはできません。しかし、子供たちの関心を増やす機会を作ることはできるはずです。試験や専門的な授業のような場ではなく、子供たちが夢中になれるような遊びやゲームというものを通してITに触れる機会を増やし、プログラミング等に対する抵抗を少しでも少なくすることが大切です。そしてそのように教育された大人が増えることでエンジニアへの世間一般の関心も増えると考えられます。

エンジニアの待遇改善

結局のところ、最も必要になるのは待遇の改善です。経済産業省が同じ2016年に公表した「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」によると、「給与・報酬に対する満足度」が日本はワースト1位となっています。

またアメリカのIT人材と比較すると「給与」「労働条件」「充実感、やりがい」「成果に対する報酬」「社内での今後のキャリアに対する見通し」「社内教育・研修や自己研鑽に対する支援」といったすべての項目で大幅に下回る結果ともなっています。エンジニア不足を補うのであれば何よりも待遇の改善が必要なことは間違いないでしょう。

パッケージの活用

エンジニア不足の改善には、パッケージを導入するという方法がまず挙げられます。日本の企業のなかには、システムの開発をするのにゼロから行うという理念を持った企業が多く見られますが、ゼロから作ることは自由に作れるというメリットがある反面、必要になるエンジニアの数も多くなるというデメリットももたらします。

パッケージの導入はエンジニアの削減だけではなく、導入にかかる時間の短縮、販売台数の分だけ導入事例が存在するといった長所もあるため、近年では導入に踏み切る企業の数が増えています。

オフショア型の活用

オフショア型とは海外の開発会社や海外子会社にアウトソースすることです。近年では特に東南アジアでオフショア開発をする日本企業が目立っています。

オフショア型のメリットは、国内でエンジニアが不足していても、海外に目を向ければ多くのエンジニアを見つけることができるという点です。言語の違いなどから海外企業をうまく使えないというイメージもありますが、日本に本社がある企業を使用することでそういった問題点は解決できるようです。

また、ベトナムなどの東南アジアであれば距離もそこまで遠くはありませんし、日本企業に合わせて仕事をしてくれるという事例も増えています。

ニアショア型の活用

ニアショア型とは、国内の地方開発企業と連携して開発を進めていくというやり方のことです。一般的な企業の場合、東京の中心部に会社を設立してそこで開発などの業務を進めることになりますが、そのやり方だと都内にいるエンジニアしか活用できなくなるという問題点がありました。

2013年に日本ニアショア開発推進機構が設立され、ニアショア機構がユーザー企業と元請け企業との間に入ることにより都内の企業が地方の企業に発注することが円滑にできるようになりました。現在では地方に目を向ける企業も増え、ニアショア機構がエンジニア不足に一石を投じた形となっています。

インターンシップの活用

エンジニア不足に対してパッケージの導入、オフショア・ニアショア開発を行うというのも1つの解決策ですが、それ以外にもやり方は存在します。それがインターンシップの積極活用です。

多くの企業が即戦力となるエンジニアを求める傾向にありますが、中途採用で採用した人材の場合はもとからその会社に帰属していたわけではないので自社への帰属意識が少ないことも十分に考えられます。やはり会社としては優秀な人材を長期的に確保することが大切になりますので、自社への帰属意識を育てるという目的を重視するのであれば新卒採用の強化という選択肢を選ぶ必要があるでしょう。

インターンシップは自社がどのような会社なのか知ってもらえるというメリットがあり、実際に会社で働く人たちと触れ合うことで入社後の人間関係をイメージすることもしやすくなります。会社に長く留まってもらうためには仕事の内容だけではなくそういった人間関係といったポイントも重要視する必要があります。

エンジニア不足を解消するのであれば長期的な視点で考えてインターンシップを活用するのも解決法の1つと言えるでしょう。

IT業界への就職率の低さ

IT技術は生活になくてはならないものとなり、多くのITサービスが世の中に浸透していますが、IT業界に就職を希望する学生の数が増えていないという現実があります。大学を卒業する学生が年に60万人前後いる中で、IT業界に就職する新社会人の数は10%未満というデータになっていますので、これはかなり少ない数字と言うことができます。

原因としては、IT業界のビジネスモデルが学生に伝わっていないことが挙げられます。つまり学生のイメージの中でITサービスと運営会社が繋がっていないということです。IT企業自体が何をしている会社なのか分からないわけですから、就職してどのように働くことになるのかというビジョンを描きづらいのも当然です。

またIT業界についてある程度見識がある学生がいたとしても、IT業界を新3Kというステレオタイプなイメージで見ている可能性も十分に考えられ、そういった場合は当然他の業界を志望することになると考えられます。

IT業界からの離職率の高さ

IT業界の近年の離職率は40%前後という数字になっています。これはかなり高い値です。もちろん離職の理由は様々なものが考えられます。中には新3Kという理由を挙げる人もいるかもしれません。きつい、厳しい、帰れないが新3Kですが、とりあえず帰れないは除外するとして、その中の2つであるきつい、厳しいがなぜそう感じるのかを考える必要があります。

まず結論から先に言うと、大学の延長線上に仕事がないということが挙げられます。IT業界での仕事において、大学で学んだことを活かす場面がないということです。これは企業が求めているスキルを大学で学ぶことができていないミスマッチを意味しています。

先述したアメリカのエンジニアのように、大学や大学院である程度専門的に学び、狭き門をくぐってエンジニア職に就くのとは大きな差です。そして今の日本社会、IT業界がアメリカのシステムを取り入れるのはまず不可能で、残念ながら当面の間は学生と企業の間でのミスマッチが続くものと思われます。

IT業界の将来性

エンジニア不足をはじめ、何かと問題の多いIT業界ですが、今後もITが担う役割は増えていくと考えられています。世界中で進むIoT、ビッグデータ、ロボット、AI分野による技術革新と進化は依然として続いていますが、それを支えているのもやはりITです。また政府がITを重要な成長戦略の一つとしてきたことを考えれば、今後の日本の成長を担うのは間違いなくIT業界だと言えるでしょう。

そして気になる人材不足ですが、外国人技術者を増やすことが最も簡単な解決方法となります。

2014年に安倍政権は高度な技術を持つ人材や専門分野での人材を確保するため、外国人労働者の受け入れを拡大する方針を示しました。

厚生労働省によると2014年の時点での外国人労働者を雇用している事業所数は137,053カ所で前年比8.1%の増加となりました。また外国人労働者数も787,627人となり同9.8%の増加となっています。今後は東京オリンピックもあり、外国人労働者の雇用がさらに活発化する見込みとなっています。

IT業界に絞って見ると、グローバル化が進む日本企業の中でも特にIT企業において人材需要が高まっているのがわかります。経済産業省が実施したIT人材ワーキンググループの資料「IT人材を巡る現状について」によると、2008年から2013年の5年間で、日本で働く外国人IT人材は56%も増加したという結果になっています。

また日本のIT企業で働く外国人労働者の国籍は中国53.0%、韓国16.4%、アメリカ4.3%で、なかでも韓国からのIT人材の流入が前年比13.0%も増加したという結果になりました。

つまり、政府がエンジニア不足を解消するために外国人IT人材の受け入れを推進していることは事実であり、オフショア開発が拡大するとともに低コストで高い技術を持ったIT人材がさらに求められているということになります。もしかしたら今後IT企業は国籍を問わずに優秀な人材を選ぶようになるかもしれず、そうなると職を失う日本人のIT技術者も増えるかもしれません。

ただ、そのような雇用体系を実現させるにはIT企業側も大幅な人材評価基準の再構築をする必要があり、優秀な人材を確保するために国際的な人材評価基準を明確に設定する可能性もあります。もちろんこれは日本のエンジニアにとっても国内にいながら自分の能力を国際基準で評価できるようになるというメリットがあります。

これからのIT業界はいい意味でも悪い意味でも国際化の方向へ向かうことは間違いなく、エンジニアだけでなくあらゆる職種で、国際的な基準を身につけ、応用が可能なスキルを身につけることが大切となるでしょう。

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